★★★☆/2022.11.12/WOWOW
とにかく、坂口健太郎。
特にファンということでもないのだけど、彼の出演する作品はなぜかおもしろいな、と思っていたので本作も拝見いたしましたが、本作はまあ、ちょっと例外であったかもしれません。テレビの方がおもしろいんだろうか?でも坂口くんはいろいろ観ているうちに好きになってきた。こんな青年と付き合いたかった、的な?(恥)
タイトルに「余命」がある作品、ていうか、私が観てきた「余命」を扱う作品は、往々にして based on a true story なケースが多かったのですが、これももしかしたらそうなのかな、とエンドロールの前に・・・・捧ぐ、的なのが出たのでそう思いました。作者の方が余命10年だったのかもしれません。それだと感想を言うのって本当に難しいのですが、あくまでも映画の感想としては、可もなく不可もなくだったかもしれません。
10年しか?それとも10年も?
死ぬまでの距離(単位は時間)が長いか短いか、その捉え方はその人が今いるポイントやその人の生き方や、その人をとりまく環境にものすごく左右されるものだと思うんだけど、20歳そこそこで余命10年と言われたら「えーーーーーっ」てなりますよね、「えーーーー、私、あと10年しか生きられないの???」って。でも、アラフィフともなると、特に未成年の子の子育て中でもない限りは、たいていは、同じ「えーーーーっ」でも「あと10年も生きられるんですか?そんなに生きちゃっていいんですか、私?」ってなります。そのぐらい違うもんなんです。少しずつ本当に少しずつなんだけど、耐性がついてくる。年齢を重ねるうちに、いろいろな死と出会い、ものすごく近くで死を体験したりすると、どうやって死ぬのかな、死ぬなら××がいいかな、絶対病院で死にたいな、とか生きているものなら誰しも迎える「死」について考えることも多くなってくる。でも、20歳ならどうでしょうか?しかも現実として余命を言われたらどうなんでしょうか?どんなに怖くて、どんなに辛くて、激しく絶望して、なんで?なんで?どうして私が?って思うことでしょうね。
これから送るはずだったかもしれない人生
本作品の主人公・まつりちゃんは20歳で、完治不能な難病の肺動脈性肺高血圧症(映画で出てきた病名)を突然発症し、10年生きた人はいない、と言われるこの病魔と必死で闘いながら、家族や友との時間を過ごし、恋をして、本作を残す。めっちゃ簡単に言いましたが、これはそういう、ただそれだけの、でも心の中を想像させるだけさせて答えは言わない、そんな映画です。小松菜奈さんが演じています。個性的な顔立ちでなかなかいい雰囲気の女性です。26歳で相当数の映画に出演されていますね。本作でも好演されています。日本映画によくある面倒臭い“間”とかは比較的少なめですが、実話なので展開はあまりしません。坂口くん演じる彼氏ものんびりした子で、目の前で主人公が倒れるまで病気にずっと気付きません。そしてそうなっても病気のことを彼女は彼氏に正しく伝えることはしません。死が本当に近づいてきたと感じて、もう一緒にはいられないからと彼氏を遠ざける行動はなんとなくわかるんだけど、それでも彼氏、わりと淡白で、彼女が死に直面していることを知ってもぐいぐい来ない。これにはちょっと違和感は感じますけど、そういうのもアリなのね、と。本当に死の間際に人は人生の「走馬灯」を見る、って話があるけど、本作で彼女が見る「走馬灯」は彼女の今までの人生ではない。これから送るはずだったかもしれない人生の走馬灯。ここはさすがに泣けます。そしてラスト近く、彼氏がいてくれたのは本当に良かったね、とつきなみに思ったりします。坂口くんで良かったとも思います。ファンになりそう(恥)。
静かな作品なので
お時間のある時にお茶の間でぜひ。そして自分がいまいるポイントと死までの距離について考えてみるのもいいかもしれないです。私もまだ少し早いかな、とは思いながらも、終活のことを時々考えています。逆にこれからまだまだ60年、70年は生きる、と思っているなら、どう生きるのかについて、頭の中で人生の地図を描いてみるのもいいかもしれないですよね、私はそれをしたことはなかったですが。あっと言う間に死の方が近くなりました、はい。